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   有病者,喫煙者における歯肉,歯周組織炎症の臨床的検討

     

 

  有病者(特に高血圧症,糖尿病など),喫煙者は一般的に歯周炎になりやすいとされている.このように歯周炎にかかりやすいとされている有病者,喫煙者が実際,健常者と比較して臨床的に歯周炎へ関連するかどうかを明らかにするため検討を行った.

          

     対象:2005年6月~10月に当院を来院し,初診時に歯周組織検査(基本検査,精密検査)を施行した

         109例(男性46例,女性63例,平均年齢49.3歳)

               

         有病の有無:健常者 61例  高血圧症 27例   その他 21例

               喫煙の有無:非喫煙者 85例   喫煙者 24例

      方法: 患者問診より有病の有無,喫煙の有無を調査し,

         年齢,性別,4mm以上の歯周ポケット率(%),BOP率(%)等について比較検討した.

        結果

             1.男性は,4mm以上のポケット率,BOP率が有意に高かった.

             2.喫煙者は,4mm以上のポケット率が有意に高かったが,BOP率では有意差は認められなかった.

             3.有病者は,4mm以上のポケット率,BOP率ともに有意に高かった.なかでも高血圧症群においても同様の結果が認められた.

        考察

             1.男性は,女性と比べて歯周炎にかかりやすい.これは,女性の方が口腔内への関心度が高く,

                   男性の喫煙者の数により影響が出ていることが考えられる.

             2.喫煙者のBOP率は,喫煙による歯肉の血管収縮によるものの影響で有意に低いことが予想されたが,

                      特に有意差は出なかった.やはり喫煙者においてもポケット内での炎症により出血が認められた.

             3.有病者は,特に歯周炎が全身的病状に左右されるということよりも,有病者が歯に気をつける精神的余裕がないことにより

                       引き起こされることが考えられる.

             4.過去の文献においても高血圧症患者は現在歯数が有意に少なく,高血圧症の歯周組織循環器系への影響,

                      降圧剤による口腔組織への副作用により歯周炎にかかりやすいことが考えられた.

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